2019/01/28

【外務省】漢級原子力潜水艦領海侵犯事件 2004年(平成16年)11月10日

報道官会見記録 (平成16年11月10日(水)17:00~ 於本省会見室)
国籍不明潜水艦の領海侵犯

(問)海上警備行動に関して、新しい情報はないのでしょうか。

(報道官)外務省の方にはありません。

(問)現在のところ、外務省で把握している情報をまとめていただくとどうなりますか。

(報道官)官邸または防衛庁の方から出ているものと同じです。今直接に外務省に何かというようなことはありません。早朝に外務大臣のところにも報告が入っており、外務省として状況を見守ってはいますが、今の段階では国籍もわからず、海上警備行動が続いていると承知していますので、その結果が出ない間は外務省として何かをするという状態ではまだありません。

(問)発見された現場海域からすると、中国籍の可能性が高いと思うのですが。

(報道官)国籍についての情報は持ち合わせていません。

(問)大臣のところに報告が入ったのは早朝ということですが、何時でしょうか。

(報道官)早朝と聞いています。

【ソース】外務省:報道官会見記録 (平成16年11月10日(水)17:00~ 於本省会見室) 国籍不明潜水艦の領海侵犯



外務大臣会見記録 (平成16年11月12日(金)09:40~ 於:衆議院議員食堂)
国籍不明潜水艦の領海侵犯

(問)今後の段取りというのは、具体的にはどういうイメージですか。

(外務大臣)現在の海上警備行動をどこかの時点で解除するということが一番のポイントです。それがいつになるかということでしょう。発動する時は総理大臣の判断を仰ぐことになっているのですが、解除は防衛庁長官独自の判断でできるということになっているそうです。総理より「無害通行」についての質問があったので、私より説明致しました。

(問)今朝方、原子力潜水艦が防空識別圏を出てしまいました。そうすると、今後、この問題は外交案件としてどう処理していくかということになると思うのですが、その辺りはどうでしょうか。

(外務大臣)国籍が判断できる状態になった後、然るべき外交上の対応措置は取ります。

(問)北京で曽慶紅国家副主席が、この点について関心を持って調査していると発言しているようですが、その点については日本政府としても...

(外務大臣)それをもって直ちに中国の原子力潜水艦であるという判断はできません。一つの周辺的な材料ではあるかもしれません。

(問)国籍の判断に至らないという理由は何ですか。

(外務大臣)それは防衛庁長官の判断です。

(問)然るべき措置というのは、抗議であったり再発防止の要請であるというようなことですか。

(外務大臣)そうですね、謝罪要求、原因究明、再発防止でしょう。

(問)閣僚懇の後、防衛庁長官と残られたということですが、大臣の方から潜水艦を巡る対応等について、何か意見等述べられましたか。

(外務大臣)このようにして行くことも考えられますということは、総理にも話しました。意見と言われても何を示すのかよくわかりませんが、相談はしました。

【ソース】外務省:外務大臣会見記録 (平成16年11月12日(金)09:40~ 於:衆議院議員食堂) 国籍不明潜水艦の領海侵犯



外務大臣会見記録 (平成16年11月12日(金)17:34~ 於:本省会見室)
中国原子力潜水艦による領海侵犯

(外務大臣)先ほど、5時過ぎ、在京中国大使館の程永華公使を招致し、日本国政府から中国政府に対する申し入れを行ったところです。中国籍であるという判断は、既にご承知のように防衛庁長官が記者会見で発表していますので、そのことを前提にして、中国政府に対して強く抗議し、謝罪を求め、このような事態に至った理由について十分な説明を求めると共に、このような事案の再発防止を求めました。背景としては、ご承知の通り、東シナ海におけるガス田開発の問題、あるいは海洋調査船の問題といった一連の問題もあったわけであり、このことについては、先般10月下旬に日中間の協議も行われ、更に協議を続けようという矢先のことでもあり、大変遺憾であるということを伝えました。以上の申し入れに対し、誠実かつ迅速な対応を求めることを申し入れたところです。
  程公使からは、この申し入れについては直ちに本国に報告すること、そして、中国も既に調査を行っているという話がありました。しかし、調査中であるが故に、今直ちに抗議を受け入れ、謝罪をするというわけにはいかないとの発言がありました。主なやりとりは以上の通りです。

(問)大臣から、外務大臣として、電話等で中国の外務大臣に伝えるということはあるのでしょうか。

(外務大臣)それは考えていません。

(問)先方は現在調査中ということですが、調査をまとめて改めて日本政府に申し開きをするという機会が来週にでもあるのでしょうか。

(外務大臣)来週かどうかはわかりませんが、当然、然るべきタイミングに回答があるものと思っています。

(問)程公使の発言が、潜水艦が中国のものであるということを事実上認めていると解釈していいのでしょうか。それともそうではないと解釈していいののでしょうか。

(外務大臣)認めているかどうか、そこを正に調査しているということだと思います。

(問)申し入れは口頭ででしょうか。

(外務大臣)そうです。

(問)APECで胡錦濤主席との日中首脳会談を行う努力をしていた矢先だと思うのですが、今回の事件がこういった首脳会談に与える影響はあるのでしょうか。

(外務大臣)問題があるから会わないというのでは首脳会談の意味がないだろうと思います。問題があればあったで、なければなかったで、やはり会談をするところに私は意味があるのだろうと思います。

(問)首脳会談の場でもこの問題を取り上げるということになるのでしょうか。

(外務大臣)首脳会談が開かれて、何も触れないというのは不自然なことでしょうね。

(問)これまでの日中関係は小泉首相の靖国参拝、ガス田の問題などぎくしゃくした状態が続いているところに、更なる問題が現れたわけですが、今後の日中関係の展開についてどう思いますか。

(外務大臣)私は、日中関係が全体としてそんなに悪い状態だとは思っていません。もちろん、問題はあります。全ての二国間関係で、問題がない関係はないと思います。日米関係においても、現在でも問題はあるわけであり、過去を遡れば極めて厳しい関係にあったこともあります。それでも、日米友好関係は変わらなかったということですから、その時々、瞬間瞬間のアップダウンはあるにせよ、日中関係というのは大切なものであり、そういう関係はしっかり維持し、発展していく努力をすることが、外交の本旨であると私は思っています。

(問)公使に対しては再発防止策のようなことも申し入れされたのですか。

(外務大臣)再発防止も強く求めています。

(問)潜水艦を中国籍と断定したのが今日になったのは何故ですか。

(外務大臣)これは防衛庁長官から話があったことだと思いますが、我が国の海から離れていった方向、そして潜水艦は原子力潜水艦であるという判断を始めとして、諸情報を総合的に勘案した結果として、中国海軍に属するものという判断ですから、そこは軍事的な要素も含めて防衛庁が判断したものと思います。

(問)大臣は、中国船籍であると判断されるという表現で公使に申し入れを行われたわけですか。「判断」という言葉ですか。

(外務大臣)「判断」という言葉を使いました。それは大野防衛庁長官も細田官房長官も「判断」という言葉を使ったと思っています。

(問)その判断が、防空識別圏を出た後に出されたということなのでしょうか。出るのを待って出されたのでしょうか。

(外務大臣)その点については、正確を期すためには、是非防衛庁に確認をしていただきたいと思います。

(問)APECや首脳会談に影響が予想されるにもかかわらずこういう判断をして、一国の外務大臣が直接会談の後に異例の会見をされるという意図についてはどうお考えですか。

(外務大臣)異例かどうかについては、私は経験が浅いのでよくわかりませんが、私が程公使を呼んで話をした以上、これはむしろ皆様方に対する責任として、私は会見を行った方がいいだろうと思ったからです。

(問)今日会われたのは程公使ですが、改めて王毅大使と会われて話をされるという考えはありますか。

(外務大臣)ありません。ちなみに王毅大使は地方を訪問されているということで、程公使が来られたということです。

(問)大臣は、中国側がいつまでに回答してくると考えていますか。

(外務大臣)早い方がいいでしょうが、何月何日までにということを求めるのも、それは先方の調査如何でしょうから。

(問)例えば首脳会談がもう一週間ほどでありますが、それまでには欲しいというような気持ちはありますか。

(外務大臣)個人的な気持ちを述べることは止めておきます。

(問)中国側の回答如何にかかわらず、APECでの日中首脳会談を開催する方向で模索していく、調整していくということですか。

(外務大臣)それは当然だと思います。当然そうです。先ほども述べたように、問題があるからやらないとか、問題がなければやるという性格のものではないと思います。

(問)今日のやり取りの中では首脳会談に対しての言及はどちらかからありましたか。

(外務大臣)ありません。

(問)今回のことで、来年度以降の対中ODAなどに関して厳しい声が上がると予想されるのですが、これについてはいかがでしょうか。

(外務大臣)そこまでのことは考えていません。

【ソース】外務省:外務大臣会見記録 (平成16年11月12日(金)17:34~ 於:本省会見室) 中国原子力潜水艦による領海侵犯



外務大臣会見記録 (平成16年11月16日(火)10:03~ 於:本省会見室)
中国原子力潜水艦による領海侵犯・日中首脳会談

(問)中国についてですが、潜水艦の問題で先方から何か反応はありましたか。また、APECの機会に日中首脳会談が入るかどうかの見通しについてはどうでしょう。

(外務大臣)現在のところ、原潜について中国政府からの反応は何もありません。また、首脳会談については、私共は当然のこととして開かれる、先般も述べましたが、あのような原潜の事件があったからこそ開かれるべきであると思っており、そういう方針で今最後の調整をしています。

【ソース】外務省:外務大臣会見記録 (平成16年11月16日(火)10:03~ 於:本省会見室) 中国原子力潜水艦による領海侵犯・日中首脳会談



外務大臣会見記録 (平成16年11月16日(火)15:39~ 於:中央玄関)
中国原子力潜水艦による領海侵犯事案

(外務大臣)本日午前中、中国の武大偉・外交部副部長から阿南大使に対して次のような話がありました。「今般の潜水艦問題について、中国側として調査をした結果、当該潜水艦は中国原子力潜水艦であることを確認した。同潜水艦は通常の訓練の過程で技術的な原因から日本の石垣水道に誤って入ったものであり、この事件の発生を中国側として遺憾に思う。中国側として隣国日本との間でパートナーシップを築いていくという方針に些かの変更もない。」こういう連絡がありました。中国側の説明は本国政府に報告する旨、阿南大使より述べたということです。
  なお、再発防止については引き続き先方にこれを求めていくことにしています。

(問)この件は抗議と供に謝罪を要求していたと思うのですが、今般のこの回答というのは謝罪というものは入っていたということですか。

(外務大臣)「遺憾に思う」ということは先方が陳謝をしたと私共は受け止めています。

(問)今週末、チリAPECでの日中首脳会談がどうなるかということが注目されていますが、その首脳会談の見通しは。

(外務大臣)日時等は必ずしも最終セットはされていませんが、当然行われるという方向で調整が進んでいると私は理解しています。また短時間であっても外相レベルの会談も調整をしようと思っています。調整中です。

(問)陳謝したと受け止められて、今回、収束に向かうと考えていいのですか。

(外務大臣)その辺は最終的に外相会談で先方がどういう見方をしているかもう一度確認をしたいと思っています。

(問)潜水艦が入った理由として技術的な問題と述べられましたが、更に詳しい言及はあったのですか。

(外務大臣)それ以上はありません。

(問)今回の回答は再発防止について更に調査するということですか。

(外務大臣)再発防止については触れられていません。こちら側から再発防止策についても予め伝えていますので、これについて今回はまだ先方の触れるところではなかったことから、先方にきちんと改めて申し入れることであり、先方から然るべきタイミングで回答があるものと、私は理解しています。

(問)技術的な原因ということですが、領海侵犯の意図があったわけではなく事故だという受け止めですか。

(外務大臣)先方の説明はそういうことなのでしょう。

(問)それを日本政府としても受け入れたということでしょうか。

(外務大臣)受け入れるとか受け入れないという指摘は、意味が少しわからないのですが、そういう説明があったということを我が方は聞いたということです。

【ソース】外務省:外務大臣会見記録 (平成16年11月16日(火)15:39~ 於:中央玄関) 中国原子力潜水艦による領海侵犯事案



漢級原子力潜水艦領海侵犯事件(Wikipedia)

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