2019/03/12

【財務省】「戦勝国は公認会計士、敗戦国は税理士」 麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(平成27年11月13日(金曜日))

【質疑応答】

問)
  公認会計士についてお伺いします。公認会計士試験、先程お隣の建物で合格発表が始まりまして、公認会計士の役割というのが東芝の不正会計問題ですとか改めて注目を集めていまして、公認会計士の役割として麻生大臣として期待されること、あるいはあるべき姿、御所感をお聞かせいただきたいと思います。

答)
  前にも言ったと思いますけれども、日本では公認会計士より税理士の方が勢力が大きかった。税理士の方が公認会計士より力が大きいというところはドイツ、日本等々、敗戦国の方が多い。公認会計士の方が強いのがアメリカ、イギリス等々、戦勝国の方が多い。いわゆる第二次世界大戦の話ですよ。その結果どういうことになっているかといえば、例えば、私に対して「私は会社やるから、お金を貸して」というのと、「私は会社やるから、投資して」、私にとってお金を出すことは両方とも同じ。債権で持つか、株式で持つかの違い。お金を出すということにおいては同じ。同じでも何でその差が出るかといえば、株式を持つ場合は、それに対するリターンは配当です。だから公認会計士の方が発達する。お金を借りている場合は、金利を払っておきさえすれば別に会社は赤字でもいいので、そういった意味で税理士の方が発達した。それが今間違いなく資産が増えてきて、民間資産が1,700兆円を超えるという話になってくると、個人金融資産の部分が大きくなって、そのうち半分以上が現預金だということになってくると、そのお金を少なくとも資産として現金という資産から株という動産という名の資産に変わる、そういうようなことができるような力を持ってきたことに伴って、日本でも公認会計士というものの値打ちというなり、存在意義というものが上がってきているのだと思います。公認会計士というものの力がもう少しきちんと発揮できるというような時代になってきつつあるのだと思いますけれどもね。株主の側に立って話せる、投資家の側に立って話せるという機関として、税理士よりは公認会計士というものの存在意義が大きくなりつつあるのだと思っていますけれどもね。いいことですよ。



問)
  内部留保について、昨日、自民党の若手議員の会合の集まりで内部留保課税というような話も出たようです。大臣は常々、企業は最高の収益を上げながら投資もしない、賃金も上げない、内部留保をため込んでいるというお話をされていて、かなり内部留保がたまっているわけですけれども、内部留保に対して課税をするべきだという考えについて、大臣御自身はどのようなお考えをお持ちでしょうか。

答)
  今言われた内部留保の二重課税については安易にやるべき話ではないということははっきりしています。それはそう思いますけれども、基本的に内部留保が何でこれだけたまっているのかと言えば、それは経営者の気持ちの問題もあるとは思いますが、92年からと多分歴史家は書くのだろうけれども、92年から始まった土地の暴落、90年から始まった株の暴落、2つかかって結果として日本の国民の資産は株で3分の1、土地でも同じく下がったというので貧乏になったのですよ、簡単なことを言えば。企業は資産がそれだけ下がったことによって、企業はその資産を担保に銀行からお金を借りていますから、その意味からいったら債務超過になったのですね。債務超過になれば銀行はお金を貸さないのですよ。貸してくれないから、結果的にはどうしたかと言えば利益を借金の返済に充てたのですね。利益はすべて借入金の返済。設備投資でもない、賃金でもない、みんな配当も全部減らして借入金の返済をすべての経営の優先順位の1番に上げた。決して間違っていないですよ、正しい行為。借金を踏み倒すよりよっぽどいい。全部返した。一方で96年ぐらいから銀行は間違いなくおかしくなってきて、ばたばた潰れて、97年には北海道拓殖銀行、証券会社で三洋証券、山一證券も潰れましたね。明けて98年になったら長銀も潰れて、日債銀も潰れてというふうな話になって、都市銀行も全部合併して、富士銀行、興銀、東海銀行の名前は今何になったのですかなんて、答えられる方が少なくなってしまったほどの話で、大阪に銀行は三和、どこにありますかなんていう話になったほどの騒ぎになったのですよ。それは間違いないと思いますね。したがって銀行がお金を貸さない、具合が悪くなったら貸し剥がすという痛い目に遭った企業側の当時の経理担当の人たちが今ちょうど重役ですよ。社長ですよ。その人達にとってみれば、絶対に二度と銀行からお金は借りない。やるなら自己資金でやるということになって、結果として内部留保がどんどんたまっていくことを促進したことは事実ですね。こういった状況というのは1930年代後半にも起きていますから。あのときもデフレ不況が終わって、ルーズベルトの2回目の選挙が終わった後からも、あれだけアメリカの景気は回復したけれども、銀行の貸し出し、いわゆるマネーサプライは増えなかった。アメリカも同じようなことが起きていますから。だからその意味では日本も同じようなことが起きているということなのだと思います。しかし、ため過ぎているというのは明らかに偏っている、正常とは言いがたいので、そろそろ経営者のマインドの変化が起きてこないとおかしいと。それを促すために税金やら何やらいろいろやっているところですけれども、まだそこまでいっていないというのが今の状況だと思います。それを今のような形でやる、内部留保でやるのか、もっと別の形でやるのかというのは、今から考えなければいけないところだとは思います。

問)
  そうすると、経営者に自助努力を促して、投資または労働分配率を上げるような取組を促したとしても、もし取り組まない場合は内部留保課税も選択肢として考えるべきだというお考えですか。

答)
  今、まずは経営者の方々に、少なくとも労働組合は政府に頼まないで、賃上げの交渉ぐらい自分達でやってくださいと。政府がGDPの伸びを実質で2%、名目で3%だと言っているときに、組合の来年の春闘の賃上げが2%だとおかしいでしょう。3%なら、こっちは4%上げてもらって当たり前ではないかと言うのが労働組合だと思うけれどもね。そういう意味からいくと、もう少しきちんとした対応を民間同士で、政府が介入するとか政治家がどうのこうのということを言う前に、きちんとそういったことをなさるべきではないのですか。法人税を下げた分だけまた内部留保や現預金がたまるだけなら、何のために法人税を下げているか、意味がないということを申し上げているということです。



※詳細は下記ソースよりご確認ください。



【ソース】財務省:麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(平成27年11月13日(金曜日))

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