【質疑応答】
問)
AIIBについて2つお尋ねします。1つは昨日ですけれども福田元総理が講演された時に、日本の今の立場について途上国いじめにつながるということをおっしゃっておられます。これはもちろん個人的な見解を披露されたことだと思いますけれども、大臣はこれまで日本の立場を御説明される時に、主に私達納税者の立場から御説明されています。税金を使う上で慎重にならざるを得ないと。一方で、こうした途上国から見た場合に、日本の立場を御説明される場合に、もう少し言葉を補足されて、途上国いじめではないのか、あるいはそう見えても仕方ないけれども今の日本の立場はこうなのだと説明していただけないかというのが1点。
もう1点は冒頭から質問が出ております日中財務対話でも、このAIIBは大きな話題になると思いますけれども、それまでに開かれる国際会議、4月のIMFCや5月のドイツのG7を経て日程的にこの日中財務対話が設定されるとなると、いよいよAIIBでのAOAに向けての最終的な話し合いになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
答)
AIIBについて福田先生がどういう意図を持って言われたのだか直接聞いていないので分かりませんが、少なくともアジアにおいて発展途上国において、インフラストラクチャーに対する資金需要が多い、これはもう今に始まった話ではないので、昔からそうです。それに対して世界銀行、ADB、いろいろな金融組織がそこに資金を貸しているわけですけれども、資金というのはある程度返済をするという前提で資金返済計画を考えて、それなりの融資をこれまでもしてきた。そこでさらに需要があるのだということで、需要があることは知らないわけではありませんが、需要に向かって我々がお金を貸すという場合は、それは間違いなく向こうの返済してくる力に合わせてお金を貸さないと、貸したお金を返済できないとか、返済が滞る等のことが起こりやすい。別に国外の話ではなくて国内でもよくある話ですから、そういったようなことを考えてやらないといけないのではないですか。したがって、我々が言っているのはずっと同じことで、そういったものをやるためにAIIB参加国の理事会がきちんと判断をしてしっかり融資をする必要があるのではないか、理事会によるきちんとした個別の審査ができますかというのが1点。
もう1点は、お金を貸す時に、ダムを作った途端に人権問題とか環境問題とかいろいろなことが起きますから、そういったようなことに関しましてもきちんと配慮が確保されていること、この2点を言い続けてきていますので、AIIBをどう進めるかという話を日中の中でやるか、それは正直、日中でやってみないとよく分からないところではありますけれどもね。
ただ、お金は貸したら返ってくるものだと単純に思っているのは日本人ぐらいではないですか。世界中、これまで海外から借りたお金を期日どおり、約定どおり、基本的に一銭も1日も違えずに返し続けた国というのは日本以外あるかな。日露戦争で借りた戦時公債、イギリスから500万ポンド等のお金、クーン・ローブ商会から500万ポンド、いろいろこれまで国債というのは借りてきたし、戦後も新幹線の世界銀行から借りたお金等、約定どおり1日も遅れなかったでしょう。それを返し切った国というのは、私の知っている範囲では日本以外ないのだけれどもね。これも貸したら取り損ねる可能性があるというけれども、税金だから、消費税やら何やらお願いしている真最中に、外国にはぼんぼんお金を貸して返ってこないなんていうのは、それはとても管理能力を問われると私はそう思いますけれどもね。それが1点。
もう1点は、アジアに対するインフラの資金需要に対しての応え方というのは、例えばアジア開発銀行においては、そういったところにお金を貸すに当たって、アジア開発銀行の持っている資金量が不足している分については、増資という形ではなくて既存の資金を有効活用して、そのお金を途上国に融資するという形でいろいろやってきています。ADBのようなしっかりとした審査能力があってきちんとしているところにはそういった形でお金を融資してきたというのが実績ですから、今ここで要審査とか融資の選別とかがきちんとできるかできないか分からないところに、新たにお金を貸すということに関してはどうかと思います。そういった形でADBがお金を貸したり、IDAにお金を融資していますから、そういったやり方にするとか、方法はいろいろあると思いますけれどもね。ただ、これは1人の国だけ抜け駆けするような感じでやるといろいろ難しいですから、そういった意味で各国よく協調してやってきたので、その協調を維持するというのが大事なのではないですかね。審査というのは結構大変なものですから。
問)
これまで日本はAIIBについて中国に懸念、やってほしいことを伝えてきましたが、大臣間でも改めてこの問題について、少なくともきちんともう一度伝える、または議論するという意向は日本の方にはあるという理解でいいでしょうか。
答)
これまで向こうから言ってきたのに関して、こちらはずっと同じ答えしか言っていませんけれども、3月末と言っていたけれども返事は来ませんでしたから、我々も返事ができませんと申し上げていますが、もう4月になりましたので、何て言ってこられるか知りませんけれども、我々の言うことは同じなので、会った時には私共としては基本的には、AIIBの話になったら、言うことは同じです。
※詳細は下記ソースよりご確認ください。
【ソース】財務省:麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(平成27年4月7日(火曜日))