気象庁海洋気象観測船による観測において、世界で初めて太平洋北半球の海底付近でフロン類が検出されました。このことは、南極周辺から北上してくる海洋大循環の深層の流れを裏付けるものです。
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気象庁では、海洋気象観測船を用いて日本の気象・気候に大きな影響を与える北西太平洋の海洋観測を行っています。この中で、フロン類は、もともと海洋に存在しない人為起源物質であるため、海洋の循環等を追跡する化学成分として観測を行っています。 今般、平成30年度(8~9月及び2~3月)に行った東経165度沿いの観測において、世界で初めて太平洋北半球側の海底付近でフロン類が検出されました。
太平洋の海底付近には、南極周辺の海面で冷却されて海底まで沈みこんだ海水が、北上し赤道を越え、北西太平洋に流れてくると考えられていました(図の青い矢印)。今回東経165度線沿いにフロン類が見つかったことは、過去に南半球でフロン類が西経170度付近のみで観測されたことと合わせて、海底付近の流れの経路を観測結果から裏付けるものとなりました。
こうした観測は、地球温暖化の将来予測等に使われる海洋循環モデルの信頼性を高めるものであり、気候変動対策に重要な役割を果たしています。
図:太平洋でフロン類が観測された場所
気象庁(赤太線)、
これまでに確認されていた場所(★)、
及び海底付近の流れの経路(薄い青矢印)をあわせて示す。
陰影は4000m以浅の海域

※詳細は下記ソースよりご確認ください。
【ソース】気象庁:海洋気象観測船が捉えた海洋の深層循環