レーシック手術については、ハロー・グレア3や不正乱視4、ドライアイなど、手術後に様々な合併症が起こり得ることが知られていますが、手術による様々なリスクについて医療機関から十分に説明を受けていないおそれのある消費者もみられます。
また、消費者がレーシック手術を受けるきっかけとなった情報の約4割は医療機関がインターネットで発信する情報(医療機関のウェブサイト及びインターネット広告)でしたが、これらの情報の一部には、関係法令に抵触するおそれがあるものもみられました。
レーシック手術を検討する際は、安易に手術を受けることは避け、インターネット等から得られる情報を十分に吟味しましょう。また、手術を受ける際は、リスクについて医療機関から十分な説明を受けて理解した上で、本当に手術が必要かどうか、よく検討する必要があります。
1消費者庁が独立行政法人国民生活センターと連携し、関係機関より「事故情報」、「危険情報」を広く収集し、事故防止に役立てるためのデータ収集・提供システム(平成22年4月1日運用開始)
2本資料におけるレーシック手術とは、レーザーを用いて角膜を変形させる屈折矯正手術のことです。
3光を見たときに、ぼやけて見える現象
4角膜の表面に凹凸があるため、眼内で光線が焦点を結ばない乱視
2本資料におけるレーシック手術とは、レーザーを用いて角膜を変形させる屈折矯正手術のことです。
3光を見たときに、ぼやけて見える現象
4角膜の表面に凹凸があるため、眼内で光線が焦点を結ばない乱視
2.レーシック手術に関する危害情報
(3)危害情報
①重大な身体被害に至った事例
<事例1>
手術直後から2か月間、目の表面に激しい痛みがあり、寝たきりの状態になった。目の表面の激しい痛みによる頭痛、吐き気、不眠等が発生した。光や太陽がまぶしく、室内でもサングラスや遮光レンズを使用するようになった。手術後1年は、近くを見ての作業ができなくなり、プリズムレンズ10の遠近両用眼鏡を常時使用するようになった。現在では、眼鏡やコンタクトで日々調整している、眼精疲労がつらい。
(平成22年9月手術 女性40歳代)
<事例2>
レーシックによる角膜の削り過ぎで遠視にされ、目の周りの筋肉が常時痛む。眼科にて両眼視検査を行い、外斜位11が発覚した。プリズムレンズの遠視眼鏡、目薬等で多少の軽減はするものの、毎日痛みでつらい。
(平成19年2月手術 男性30歳代)
<事例3>
まぶたの腫れや両目の痛み、ドライアイが顕著で、1時間に数回は目薬をさすような状況になった。見え方の違和感やゆがみ、飛蚊症なども発症した。術後3週間程度は、食べられず、寝たきり状態だった。その後も、電車に乗ってもすぐに座り込んだり、車やエレベーター内で吐いたりするような状況である。
(平成25年2月手術 女性30歳代)
②手術前のリスク説明が不十分だったおそれがある事例
<事例4>
レーシック手術を宣伝している眼科医院に行き、手術を受けた。手術前にリスクの説明はなかった。手術後、視力は両目とも 0.8~1.0 くらいになったが、ドライアイになり、10 分ごとに目薬をつけないと目を開けていられないような状態である。事前にリスクを聞いていれば手術はしなかった。
(事故発生年:平成22年 女性40歳代)
<事例5>
インターネットで近所の病院を見付け、手術を受けた。術後、目に違和感が出て見え方もおかしくなり、目が痛み、乾くようになった。現在、地元眼科で症状を緩和するための眼薬を処方してもらっている。広告は、メリットばかりをうたい、手術を受ける前も危険性についての十分な説明がなかった。
(事故発生年:平成18年 男性20歳代)
③広告等をきっかけに手術を受けた事例
<事例6>
インターネットで有名人が出ている広告を見て眼科を訪れ、レーシック手術を受けた。手術後、遠視になってしまい、頭痛や目の痛み、吐き気があり仕事ができない。
(事故発生年:平成25年 女性30歳代)
<事例7>
家族がもらったクーポン券を使ってレーシック手術を受けた。手術後、目の表面や奥の痛み、めまい、まぶしさ、焦点が合わないなどの障害が起きた。3Dの画像を一日中見ているような状態で、吐き気もひどい。遠くは見えるが近くが見えづらく、パソコンを使う仕事に支障を来している。
(事故発生年:平成25年 女性40歳代)
5.専門家からのアドバイス
事故事例やアンケート結果から、リスクの説明不足や過矯正の問題がみられました。そのため、日本眼科学会から、レーシック手術について次のようなアドバイスを頂きました(詳細は別紙2参照)。
(1)手術のリスクについて
・ハロー・グレア、不正乱視、ステロイド緑内障、ドライアイなどの術後合併症が知られている。ハロー・グレアやドライアイは術後長期間持続することもあるため、手術前に、可能性のある合併症と問題点について十分に説明を受け、理解し、同意しておく必要がある。
・レーシック手術で削った角膜は元に戻らない。
(2)過矯正の問題点について
・特に近視の場合、矯正し過ぎて術後に遠視になってしまうと、眼精疲労や近見障害14などが問題になることがある。
・矯正の目標として、裸眼視力 1.2 や 1.5 を目指すのではなく、やや控えめの視力目標を設定した方が、前記のような問題を避けることができる。
・軽度の近視は老視になったときに有利である。
・特に40歳代以上の方は調節力が衰えてきているため、術後に眼精疲労や近見障害の症状が強く出ることがある。
14近くの物が見えにくくなること
6.消費者の皆様へ -レーシック手術を受ける上での注意点-
(1)リスクがあることを認識しましょう
思ったような視力が出ないだけでなく、物が二重に見える、光がにじむ、光が放射線状に広がって見えるなど、根本的な治療が困難となる症状が起きることがあります。
(2)リスクについて医療機関でしっかり説明してもらいましょう
医師によっては具体的な後遺症について十分な説明がなされないケースがあります。手術を受けるにあたっては、手術前の検査結果から考えられるリスクについて、十分な説明を求めましょう。
(3)インターネット上の情報はよく吟味しましょう
過去の施術数、芸能界やスポーツ界等の有名人のコメントなどが掲載されている医療機関のウェブサイトがありますが、必ずしもその医療機関の施術能力を反映するものではありません。
(4)本当にレーシック手術が必要か、慎重に検討しましょう
既に眼鏡やコンタクトレンズ等で視力矯正をしており、不便を感じていない場合には、レーシック手術及びその後のリスクをよく考え、本当にレーシック手術が必要か、慎重に検討しましょう。
※詳細は下記ソースよりご確認ください。
【ソース】消費者庁:2013年12月4日 レーシック手術を安易に受けることは避け、リスクの説明を十分受けましょう!-希望した視力を得られないだけでなく、重大な危害が発生したケースもあります
【ソース】消費者庁:消費者への注意喚起 2013年度