【質疑応答】
問)
麻生大臣は内閣改造後も留任ということで、引き続き経済財政政策の中核を担われるということになったと思うのですが、新たなスタートを切るに当たっての抱負を伺えますでしょうか。
答)
過日、総理から発言がありましたように、経済再生を優先順位の1番に挙げるということを言っておられますので、引き続き経済再生というものに関して全力で取り組んでいくということだと思っています。
足元の日本経済、企業収益、経常で見ると過去最高水準だと思いますし、給料もベースアップが久しぶりに2年連続で行われたりしていますし、いろいろな形で景気は確実に回復基調にあるということははっきりしているのだと思いますけれども、他方でこの2年間ぐらいの企業の内部留保を見ていれば、この2年間で24兆円と26兆円で計50兆円ほど内部留保は増えています。税金は下がったが、内部留保は増えているということですから、基本的に企業は、前々から言うように増やした利益を何に使うのですかと。給与を上げるか、配当を増やすか、設備投資をするか、その3つに基本的には分けられ、しかるべく使われていくのが当然だと思います。このところを見ても労働分配率は下がっていますし、企業のこれからの設備投資は、設備の更新等いろいろ使われるべきものが長らく止まっていたものもいっぱいあるはずですから、そういったものに使われていくということが必要で、第1の矢、第2の矢とやってきていますので、ここは第3の矢が一番頑張らなければいけないところに来たのだと思っています。そういった意味では我々としてはこの認識を共有して企業側、民間側も大いに頑張っていただくということだと思っています。
傍ら財政面でいえば、2020年度までのプライマリーバランス、基礎的財政収支を黒字化に持っていくという目標を掲げていますので、2015年度までのまず半減というのはほぼ達成されつつあると思っていますから、そういう意味では今年6月に決めた経済・財政再生計画に基づいて、我々としてはその取組を継続して、目標を達成していく、いわゆる経済再生と財政健全化というものを両立させるということを目標にしてやっていきたいと思っています。
金融につきましては、今いろいろな形で状況が大きく変わってきているのだと思います。企業がこれだけお金を持っていて今まで貸し渋り、貸し剥がしなどいろいろ長きにわたって痛い目に遭っていますからお金を借りる気はない、基本的には内部留保だけで賄いたい、そう思うのが当然です。そういった意味では金融は今までと同じようなことで、待っていればお金を借りに人が来るなんて思ったら大きな間違いだと、大分気がついてきていると思いますけれどもね。我々金融庁としても、リーマンショックの後とか97年のアジア通貨危機の後のような銀行の倒産とかというような状況のような危機的な状況に今あるわけではありませんので、長期的に見て人口減に合わせていろいろな形で金融というもののあり方などを、システム全体として考えていかなければいけないと思っています。経済の持続的な成長というものを考えていった場合に、やはり公正な資金配分とか、いろいろな表現があるのでしょうけれども、そういったものを考えていかなければいけないのだと思っています。
あともう1点は、来年5月に仙台の秋保でG7の財務大臣・中央銀行総裁会議をやることに決めていますので、その意味では各国の財務大臣及び中央銀行総裁に是非世界経済に関しての有意義な意見を聞かせてもらうと同時に、復興状況というものに関しても是非我々としての成果なり、これまでの経過状況なりを見てもらえればと思っています。
いずれにしても全体として言えることは2年9カ月前に始まったときから同じことを言っていますけれども、我々は長いこと資産のデフレーションから来る不況、過去70年間1回もやったことのない経験、これは世界中ありませんから。その中にあって我々は資産デフレ不況からの脱却ということで、今不況という段階ではなくなったと思いますが、資産のデフレというものが引き続き、かつてほど激しくないにしても、まだインフレに向かっているという段階であって、インフレ率が1%だ、2%だというところまで来ていないと思っていますので、そういった意味ではきちんとしたそういう目標をやると同時に、景気の維持、景気拡大の維持、経済再生と財政健全化というものの両立を引き続き目指していくということだと思いますので、今一番大事なときかなという感じはしますね。
※詳細は下記ソースよりご確認ください。
【ソース】財務省:麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(平成27年10月13日(火曜日))