【質疑応答】
問)
質の高い工業製品の輸出というのは、危機の前のレベルまでには戻っていないということなのですけれども、ということはまだ円がちょっと強すぎるということなのでしょうか。
大臣)
日本の場合、円の価格でいくとリーマンショックの前までは円安に振れていますから、その意味では、我々としては、その問題について非常にさらに円安をとか、円高をとか言うつもりも、また介入するつもりは全くありません。経済については、どうしてもデフレーションによる不況というものは、過去70年間、先の第二次世界大戦が終わって今日の70年間に不況というものは世界中でいろいろありましたが、デフレーションによる不況というものをやった国は、世界で一つもありません。我々は、その対応をこの15年、20年、日本銀行も政府も財務省もこの対応を間違えた。この不況を通常の不況として対応したのですが、インフレではなくデフレの不況であったために、その対応を間違え、結果としてデフレーションの傷は深かった。したがって今日まで不況が長引いたのですが、それを我々は反省に立って、政権に復帰してからこの2年間、アベノミクスといわれる経済対策をやらせていただいて2年4か月経つことになりますけれども、結果として今、我々は、インフレではありませんけれどもデフレではない、というところまできた。プラスマイナスゼロのところまでは来たと思っていますけれども、少なくとも経済が成長していくために財政出動等によって、財政収支のバランスが取れていませんので、財政収支をきちんとバランスさせていくと、経済の成長、歳出・歳入改革を引き続きやっていかなければならないという大きな課題を持っているというのが日本の現状だと思っています。
問)
本日の総務セミナーでの大臣の新構想、イニシアティブのことなのですけれども、今は事務方のほうで検討中ということですが、これはいつ頃までに最終的に取りまとめて、発表されるという御予定でしょうか。先ほど大臣もおっしゃられましたが、インフラ事業というのは非常にアジアの中では膨大だと思われます。そうすると、質というより量が欲しいという途上国も多いと思うのですが、日本の新構想が開発途上国の中で受け入れられるという自信があるのかどうか大臣の御所見をお願いします。
大臣)
どれくらいの資金量が増えるかとか、またその実施時期とかはいろいろあるところですけれども、いくつかのものがありまして、例えばダムを開発することによって環境破壊につながるといったことをきちんと考えなければだめです。また、お金を借りるということは返すということが必要ですから、きちんとした返済計画を立てなければだめです。それから、例えば日本の架けた橋がカンボジアかラオスとかでお札の絵になるということがありましたけれども、なんであの橋がお札の絵になったのかというのは、他の国の支援によってできた橋は洪水の度に流れる、日本が架けた橋は流れない。技術力の違いというのももちろんあるのかもしれませんが、日本は一度架けたら度々壊れる橋など、これは別の災害につながるので、架ける以上はきっちりしたものをかけるという哲学、長期的にきっちりしたインフラを整備した方が結果的にその方が安くなる、という考え方というのが日本の場合はある。これは昔から自然災害が全部ありますから、津波までいつの間にか世界語になりましたけれども、そういった意味では、日本の場合はいろいろな意味で地震とか津波とかその他台風とかも含めて自然災害というものを長年にわたってきちんと付き合ってきているところなのだと思います。そういった知見とか経験とかそういったものを、はっきりそれが提案できる、そういったものが日本の持っている最大の強みなのだと私はそう思っているのですけれども、ぜひそういったことをきっちり話し合いしてやっていけるようにしないといけない。とにかく目先の橋を、というのは分からなくもないけど、洪水の度に流れるのでは、とういう感じもしますのできっちり共有していきたいと考えております。
※詳細は下記ソースよりご確認ください。
【ソース】財務省:麻生大臣、黒田総裁共同記者会見の概要(平成27年5月3日(日曜日))