2019/02/11

【外務省】日本の領土をめぐる情勢 北方領土(5) 北方領土への渡航自粛要請

政府は、日本国民に対し、北方領土問題の解決までの間、北方四島への入域を行わないよう要請しています。

また、この関連で、政府としては、日本国民や第三国の国民が北方四島で経済活動を行うことを含め、あたかも北方四島に対するロシアの「管轄権」を前提としたかのごとき行為を行うことは、北方領土問題に関する我が国の立場と相容れないものと認識しており、そのような活動を行わないよう要請しています。

仮にこれらの活動が判明する場合、政府は、適切に申入れ等を行ってきています。

我が国国民の北方領土入域問題に関する閣議了解(平成元年9月19日)

戦後40年以上を経た今日も日本固有の領土である北方領土のソ連による不法占拠が継続しており、政府は、国民の総意及び国会の関係諸決議に基づき北方領土返還を実現するための交渉を行っている。

このような状況の下で、最近一部の日本国民がソ連当局の査証の発給を受けて北方領土に入域するという事例が見られたが、日本国民がソ連の出入国手続に従うことを始めとしてソ連の不法占拠の下で北方領土に入域することは、日本固有の領土たる北方領土に関する国民の総意及びそれに基づく政府の政策と相いれないものである。

このことについて、日本の多数の遺族が過去に約10年間にもわたり人道上の問題である北方領土墓参の中断を余儀なくされたことが想起されるべきである。

以上にかんがみ、政府は、国民に対し、北方領土問題の解決までの間、このような北方領土への入域を行わないよう要請することとする。

我が国国民の北方領土入域問題に関する閣議了解(平成3年10月29日)

我が国国民の北方領土への入域については、政府は、「我が国国民の北方領土入域問題について」(平成元年9月19日閣議了解)により、北方領土問題の解決までの間、これを行わないよう、国民に対し要請してきたところである。

政府としては、平成3年4月18日の日ソ共同声明第4項において、歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の北方四島が平和条約において解決すべき領土問題の対象であることが明確に認められ、領土問題の解決を含む平和条約の準備を完了させるための作業を加速することが第一義的に重要であることが確認されたとの新たな状況を踏まえ、北方領土に居住するソ連邦国民との交流の新しい枠組みを策定すべくソ連邦側と交渉を行ってきた。

今般、平成3年10月14日付け日ソ両国外相間の往復書簡により、領土問題の解決を含む日ソ間の平和条約締結問題が解決されるまでの間、相互理解の増進を図り、もってそのような問題の解決に寄与することを目的として、かつ、いずれの一方の側の法的立場をも害するものとみなしてはならないとの共通の理解の下に、我が国国民の北方領土への訪問を、旅券・査証なしで行うこと等を内容とする新しい枠組みが作られた。

政府としては、このような趣旨を踏まえれば、当分の間、新しい枠組みの下での北方領土への訪問は、北方領土に居住していた者(これに準ずる者を含む。)、北方領土返還要求運動関係者及び報道関係者で、総務庁長官及び外務大臣が適当と認めるものが総務庁長官及び外務大臣が定める手続に従い、団体で実施されることが必要であると考える。

北方領土への入域は、今後、本件枠組みの下での訪問及び昭和61年7月2日付け日ソ双方の口上書に基づく墓参のための訪問のみとし、これら以外の北方領土への入域については、引き続き前記平成元年9月19日付け閣議了解に従って対処するよう国民各位の理解と協力を要請する。

我が国国民の北方領土入域問題に関する閣議了解(平成10年4月17日)

我が国国民の北方領土への入域については、政府は、「我が国国民の北方領土入域問題について」(平成元年9月19日閣議了解)により、北方領土問題の解決までの間、これを行わないよう、国民に対し要請してきたところである。

政府は、平成3年10月14日付け日ソ両国外相間の往復書簡により、領土問題の解決を含む日ソ間の平和条約締結問題が解決されるまでの間、相互理解の増進を図り、もってそのような問題の解決に寄与することを目的として、かつ、いずれの一方の側の法的立場をも害するものとみなしてはならないとの共通の理解の下に、我が国国民の北方領土への訪問を、旅券・査証なしで行うこと等を内容とする枠組みを設定した。この関連で、政府としては、このような趣旨を踏まえれば、当分の間、この枠組みの下での北方領土への訪問は、北方領土に居住していた者(これに準ずる者を含む。)、北方領土返還要求運動関係者及び報道関係者で、総務庁長官及び外務大臣が適当と認めるものが総務庁長官及び外務大臣が定める手続に従い、団体で実施されることが必要であると考え、平成3年10月29日付け「我が国国民の北方領土への訪問について」の閣議了解を行った。

その後、平成5年10月13日付けの日露関係に関する東京宣言第2項において、両国政府は、北方領土問題を歴史的・法的事実に立脚し、両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決することにより平和条約を早期に締結するよう交渉を継続し、もって両国間の関係を完全に正常化すべきことに合意し、また、上記の往復書簡により設定された枠組みの下で行われてきている歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の北方四島に現に居住している住民と日本国の住民との間の相互訪問を一層円滑化することをはじめ、相互理解の増進へ向けた一連の措置を採ることに同意した。さらに、我が国国民の北方領土への訪問を旅券・査証なしで行うこと等を内容とする前記の枠組みは、平成4年に開始されて以来過去の6年間順調に発展し、北方領土問題解決のための環境整備の一環として相互理解の増進を図る上で相当の役割を果たしてきた。

以上を踏まえ、政府としては、この枠組みによる訪問を更に拡充することとした。このため、当分の間、この枠組みによる北方領土への訪問は、前記の者に加え、この訪問の目的に資する活動を行う専門家で、総務庁長官及び外務大臣が適当と認めるものにより、総務庁長官及び外務大臣が定める手続に従い、団体で実施されることとする。

北方領土への入域は、今後とも、本件枠組みの下での訪問及び昭和61年7月2日付け日ソ双方の口上書に基づく墓参のための訪問のみとし、これら以外の北方領土への入域については、引き続き前記平成元年9月19日付け閣議了解に従って対処するよう国民各位の理解と協力を要請する。

我が国国民の北方領土入域問題に関する閣議了解(平成11年9月10日)

我が国国民の北方領土への入域について、政府は、「我が国国民の北方領土入域について」(平成元年9月19日閣議了解)により、北方領土問題の解決までの間、これを行わないよう、国民に対し要請してきたところである。

その後、平成3年10月29日付け及び平成10年4月17日付けの閣議了解「我が国国民の北方領土への訪問について」において、我が国国民の北方領土への入域は、平成3年10月14日付け日ソ両国外相間の往復書簡により設定された枠組みの下での訪問(以下「四島交流」という。)及び昭和61年7月2日付け日ソ双方の口上書に基づく墓参のための訪問(以下「墓参」という。)のみとし、これら以外の北方領土への入域については、前記平成元年9月19日付け閣議了解に従って対処するよう国民各位の理解と協力を要請してきたところである。

今般、平成10年11月13日に署名された日本国とロシア連邦との間の創造的パートナーシップ構築に関するモスクワ宣言第I部第2項における日露両首脳間の原則的な合意に基づき、政府は、平成11年9月2日付け日露双方の口上書により、旧島民及びその家族たる日本国民による、北方領土への最大限に簡易化されたいわゆる自由訪問(以下「自由訪問」という。)の枠組みを設定した。これにより、我が国国民の北方領土への訪問として、従来の四島交流及び墓参に加え、日露両国のいずれの一方の法的立場をも害するものとみなしてはならないとの共通の理解の下に、自由訪問が実施されることとなった。

  北方領土への入域は、今後、この枠組みの下での自由訪問並びに四島交流及び墓参のみとし、これら以外の北方領土への入域については、引き続き前記平成元年9月19日付け閣議了解に従って対処するよう改めて国民各位の理解と協力を要請する。



(参考)北方領土訪問に関するQ&A

Q1
日本政府は、日本国民による北方領土訪問に対して自粛を要請しているとのことですが、なぜ日本固有の領土である北方領土を日本国民が訪問してはいけないのですか?

A1
(1) 北方領土はいまだかつて一度も外国の領土となったことがない、日本固有の領土です。しかし、現実には、北方領土は依然としてロシアの不法占拠の下におかれており、現在、日本はロシアとの間で北方領土返還のための交渉を精力的に行っています。
このような状況の下で、ロシアが北方領土において管轄権を有していることを前提とする行為を日本国民が行うことは、あたかも北方領土がロシアの領土であることを認めることにつながり、北方領土に対する日本の法的立場を害するおそれがあります。

(2)具体的に言えば、日本国民がロシアの出入国手続きに従うこと(例えば、ロシアの査証を取得して四島を訪問すること、無査証であってもロシアの「許可」を得て四島を訪問すること)や、北方四島でロシアの国内法に基づく行動をとること(例えば、ロシア国内法に基づく検疫の実施、ロシア国内法に基づく外国人の滞在登録の実施等)は、ロシアが北方四島において管轄権を有していることを前提とする行為に当たります。

(3)このような考え方に基づいて、日本政府は、北方領土問題の解決までの間、日本国民による北方領土訪問について自粛を求めているものであり、国民の皆様のご理解とご協力をお願い致します。



Q2
民間人が北方領土を訪問したとしても、それは自由な交流活動の一環に過ぎず、政府の行動ではないのであるから、北方領土に対する日本の法的立場を害することはないのではないですか?

A2
(1) 一般的に、領土問題に関する一国の立場は、その国の政府の行為のみによって判断されるものではなく、その国の国民一般の認識と活動という歴史的事実の積み重ねについても相当の重みをもって斟酌されるものと考えられます。

(2)このため、ロシアが北方四島において管轄権を有していることを前提とするような行為が日本国民により積み重ねられた場合、それが民間人の行為の積み重ねであったとしても、日本が北方領土におけるロシアの管轄権を認めていると見なされかねず、北方領土に対する日本の法的立場を害するおそれがあります。



Q3
それでは、現在行われている「ビザ無し交流」で日本国民が北方領土を訪問することは、北方領土に対する日本の法的立場を害することにはならないのですか?

A3
旅券・査証なしで、北方四島訪問を実施している四島交流(いわゆる「ビザ無し交流」)については、その枠組みを作る際の日露政府間の文書において、この交流に関連するいかなる問題においても、日露のいずれか一方の側の法的立場を害するものとみなしてはならないという規定が設けられています。
  したがって、四島交流の枠組みによる北方領土の訪問は、北方領土に対する日本の法的立場を害することにはなりません。



※詳細は下記ソースよりご確認ください。



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